6月3日(金)「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論Ⅰ)」(品川 明教授担当)において、
中澤宗寿氏(表千家茶道教授)に「世界に伝える日本の味」と題して講義を頂きました。
茶事の中で行われる懐石を見ることで、その中に込められた日本の心について知ることができます。
講義の内容は主に以下の項目から構成されていました。
- 中澤先生のお点前
- 茶事について
- 茶事のなかの懐石のながれ
- 時候の菓子
授業の最初に2名の学生が舞台に上がり中澤先生のお点前を頂きました。
お点前を頂くということは、味覚も大事ですが、味わうということは、ビジュアルだけではなく、視覚、嗅覚はもちろんですが、触覚で茶器を捉え、菓子の銘を聞いて聴覚でおいしさを捉えることもできます。
茶事は常にお客様のことを思い、見えない部分での準備がとても大切です。
懐石は茶事の中で行われますが、茶事の進行はお客様をお迎えする露地から始まります。
寄付き、待合、亭主と客の挨拶を交わす初座、掛物、初炭、香合、懐石までの流れ、使用される器やのせる料理の種類を学び、懐石料理について解説して頂きました。
懐石の最後に出すのが菓子です。季節に合わせていろいろな意味合いをこめた菓子は、銘を聞いて耳で感じ、視覚で美しさを捉え、季節を感じながら味わいます。
炭とりについては、炭の種類、大きさ、置き方によって空気の流入が変わり、茶事の進行に合わせて湯が沸くように、名残を残すように段取りします。
茶事は常にお客様のことを考え、洗練されかつ考え抜かれた設えや所作を通じておもてなしをする奥深い素晴らしい日本文化です。
感性を研ぎ澄まし、感謝とともにたしなみ楽しむ茶道のおもてなしの世界に、フードコンシャスネスの提唱する概念と多くの共通点があることに、受講生たちは認識を新たにしていたようです。