(フードコンシャスネス論は(一社)フードコンシャスネス研究所からの寄付による寄付講座です。)
5月28日(金)「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論Ⅰ)」(品川 明教授担当)において、早稲田大学先進理工学部化学・生命科学科 中尾洋一教授に「食と遺伝子のスイッチ」と題して講義を頂きました。今回もZOOMによる遠隔授業でした。
講義は「食べ物は体にいいのか?」という問いから始まりました。
食の機能性を調べるための研究法はいまだに限られた手法にとどまっているため、「食の機能性をデジタル化できる方法はないか?」という視点から遺伝子スイッチの研究が進められました。
食品は薬と異なり効果が穏やかで、効果・効能が明確にあるとはなかなか言えないことが難点ですが、研究結果で判明したことは、遺伝子のスイッチ変化を追うことで、これまで見逃されていた食の機能を明らかにできるということが判明しました。
それを食品成分にも応用できるのではないかということで、日本が誇る伝統的な発酵食品で
ある味噌の研究を行いました。
日本にある味噌の製造元から約100種類の味噌を選んで成分を解析しました。味噌の解析を
通じて遺伝子のスイッチを切り替える味噌の成分を突き止めました。
そしてその成分は発酵過程で生じる味噌特有の成分であること、および味噌に含まれる成分がアストロサイトを増加させ、抗ストレス作用があることが判明しました。
食が遺伝子のスイッチを切り替えることが判かったのです。
遺伝子工学の話は大変難解ですが、講師の解説を通じてエピゲノムをオンにすることが生き物にとって重要な点だということが理解できました。
(まとめ:楠野恭巳)