(フードコンシャスネス論Ⅰは一般社団法人フードコンシャスネス研究所の寄付講座です)
5月21日(金) 「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論Ⅰ)」(品川 明教授担当)において、株式会社美濃吉 代表取締役社長 佐竹力総 氏に「世界に誇る日本の食文化」と題して講義を頂きました。今回もZOOMによる遠隔授業でした。
講義の内容は主に以下の項目から構成されていました。
1.食文化とは(経済は文化のしもべである)
2.日本料理の歴史
3.日本の食文化(2013年ユネスコ無形文化遺産に登録、2017年文化美術基本法に制定)
4.日本料理の特徴(陰陽、五味五感、五感五法)
5.京料理とは(季節を五感で味わう料理)
6.日本料理店(料亭)は日本文化の凝縮空間(食と伝統のテーマパーク)
7.和食の原点(自然の恵みに対する感謝の心)
8.食料安全保障(「食材を使い切る食文化」「もったいない精神」が世界の食料危機を救う)
講義は食文化、日本料理の歴史、室町時代に千利休が茶懐石を行った話から始まりました。
日本料理を理解し、その本質を認識するにふさわしい内容でした。特に食文化と日本人のアイデンティティとの関わりおよび日本料理の特徴と京料理の丹精と洗練さの内容は、学生に食とその美意識あるいは食と文化の理解を喚起し、日本の良さを再認識してもらうには的を得た内容でした。
和食には四季の変化を愛でる心があり、その時その折のおもてなし、食材、技のハーモニーであり、自然の恵みに対する感謝の心があります。とくに京料理は“季節を五感で味わう料理”であるという指摘は、食文化の奥深さを再認識させるものでした。
日本食の本質を知り尽くした美濃吉10代目当主の豊かな経験と知識を背景にした講義は、日本食と同じように大変味わい深い内容であり、学生たちの知的好奇心を大いに駆り立てたようでした。
(まとめ 楠野 恭巳)