(フードコンシャスネス論Ⅰは一般社団法人フードコンシャスネス研究所の寄付講座です。)
6月7日(金) 「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論1)」(品川 明教授担当)において、料理研究家・おいしいもの研究所代表 土井善晴氏に「食事とは」と題して講義をいただきました。
講義の内容は主に以下の項目から構成されていました。
1.食事の方法(一汁一菜)
2.お料理する意味、食事をする意味
3.生きていく力
近年、お弁当自慢などをインスタでアップすることにより、女性の料理力のハードルが上がってしまい、日本の多くの女性が自縄自縛の状態になっているようです。そこで本来の和食の基本である、ご飯と味噌汁と漬物といった一汁一菜で良いという提案をしたそうです。
しっかり洗って吸水をさせるご飯の炊き方、具にこだわらず好きなモノを入れる味噌汁の作り方を教えていただきました。
箸を横に置くのは神様からの恵みであるご飯と自分たちの間に堺をおいてけじめをつけることを意味します。これは日本文化と日本人の意識を表す代表的な行為のひとつです。
「料理する意味」とは作った人が料理を食べている人を見て幸せを感じることです。料理が食べる環境であり、料理が子供たちの居場所を作ります。「安心」から「自信」「勇気」「責任」「愛情」を育みます。
食べることは生きていく力となります。身体は予測し能力に応じて正しく反射します。観る経験を積み重ねていくと良いものか悪いものかの判断ができるようになります。
集中するということは、注意深く聞き、記憶となり、経験となり、比較して自分で判断ができるようになるということです。自分で判断し、五感を磨くこと、そして自然によって生かされていることが大事だと思えるようになることが大切です。
豊富な経験と知識を通じて料理の何たるかを熟知しておられる土井講師の講話は、まさに食の本質を積極的に再認識すべきであるというフードコンシャスネスの考え方を後押ししてくれる内容でした。
(まとめ 楠野恭巳)