フードコンシャスネス教育は単なる味覚教育や栄養教育の食育ではありません。食育の基盤を形成するための教育と位置付けています。
フードコンシャスネス教育の学問領域は自然科学ばかりでなく、社会科学や人文科学をも含む応用科学の領域で、「食べるもの」「食べること」「食べかた」を考えることを通じて、子どもから大人までの食に対する五感を耕し、生きる力、考える力、感動する力、コミュニケーションする力、文化や未来を創造する力を育む食育です。
これは正解を求めない教育、価値観を押しつけない教育、答えを教えない教育、つまり自らの五感を研ぎ澄まし、それらをフルに活用して感じ・気づき、考えかつ心を育む人間教育です。
その意味で“食(フード)を積極的に意識する(コンシャスネス)”ということでフードコンシャスネスというネーミングにしました。(私たち日本人には少々言いにくい言葉ですが、新たな概念の食育であるため、当初より世界に発信するつもりで英語名にしました。)
現在の一般的な教育は知識を教える・伝えるという情報・知識提供型教育が多く見られます。憶えること、正解を得ることが重視され、学ぶ者にとっては受動型教育(詰め込み式教育)になっています。本来の教育に求められる感じることや考えることが軽視される傾向にあるようです。
これに対しフードコンシャスネス教育では、教育(エデュケーション)の語源であるラテン語のエデュカーレを尊重し、その本来の意味である“引き出す”こと重視しています。
つまり、知識・情報を提供する教育から人間のもっている五感をフル活用した“食そのものを意識する教育”、引き出す教育を基軸にしています。
フードコンシャスネス教育は食べるというという日常的な行為をきちんと意識し、食に対する自覚的かつ積極的な能動型姿勢を育む食育です。
視点を換えれば、人間の五感を通じてその感性や能力を積極的に引き出す“人間力復活型教育”といえましょう。
ところで、よく食べたとたんに「うまい」「おいしい」という人がいます。「うまい」や「おいしい」は素晴らしい言葉ですが、その言葉だけでは食のうまさやおいしさを真に表現したことになりません。
食を味わうためには、五感をフル活用することが求められます。口は視覚以外のすべての感覚(触覚、聴覚、嗅覚、味覚)を有しているかまたは繋がっています。口は優れた能力をもっていますが、それだけでは十分ではありません。それは口の中だけから感じとっている狭い意味での味わいだからです。
食と“対面”したとき、その命がいつ、どこで生まれたのか、それを作ったり採ったりした人はどんな人か、どの様に運ばれてきたのか、どのように料理されたのか等々に想いを馳せること(想像力)が大切です。
食は命であり、繋がりであり、恵みなのです。
まさに五感と心を使って味わうことが求められているのです。そうした想いを馳せることができると、「有り難う」「頂きます」「ご馳走様」「勿体無い」「お陰様」という言葉が自然に出てきます。本来これらの言葉は教えるものではなく、食を自覚的に意識することを通じて、自らの心の奥底から湧きいずる“魂の言葉“なのではないでしょうか。
食べることができる有難さ、命を頂くことへの感謝、手間ひまや愛情の実感、無駄にすることへの憂慮は、知識や情報を与えられただけではなかなか得心できないものです。
なぜなら理解と納得は別問題だからです。知識・情報提供型教育では理解は得られても、なかなか納得や体得までいきません。つまり創造的教育成果に結びついていかないのです。
しかしこれらがしっかり感じられ、理解でき、納得できれば、黙っていても環境問題や食糧問題等々の今日的社会問題の多くが解決されていくことでしょう。
残念ながら、これまで味わうことの本質とその重要性を学び、体験できる食育はありませんでした。
学歴も大切ですが、食歴の大切さを知っている人の方が幸せな生き方ができるかもしれません。
私たちはフードコンシャスネス教育という食育を通じて、“食は命なり、食は社会なり、食は地球なり”を意識できる、豊かな感性と知性と喜びをもたらす人間教育を行っていきたいと思っています。
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