7月6日(金) 「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論1)」(品川 明教授担当)において、料理研究家・おいしいもの研究所代表 土井善晴氏に「食事とは」と題して講義を頂きました。
(フードコンシャスネス論は(一社)フードコンシャスネス研究所からの寄付による寄付講座です。)
食は神様から頂いたもの、自然の恵みを頂くということであり、箸を横に置くのは神様からの恵みであるご飯と自分たちの間に堺を引いて、けじめをつけることを意味します。これは日本文化と日本人の意識を表す代表的な行為のひとつです。
人間は特別な存在ではなく自然の一部であり、自然に活かされ、自然と繋がっています。農業とは食料供給だけではなく、環境保全、暮らしのリズム、生活習慣、行事、食文化、命を支えることはもとより心と精神を育んでいます。
買ってきた料理と家族が作った料理は同じではありません。「食事とは料理をして食べること」です。
料理が子供たちの居場所を作り、家族の団らんには安心、自信、勇気、責任、愛情があります。料理をすることは命を与えるという大事な意味をもっています。母親は無償の愛で料理を家族に与えます。
それに対してコンビニ食には顔が見えませんし、そこから会話も生まれません。
親子の食事には会話があり、想像力を働かせ、よいことも悪いこともいろいろ経験できます。食べ物を通して会話が弾み、イマジネーションを働かせ、経験を積むことができます。
講座の最後ではご飯の炊き方を教えて頂きました。食事は一汁一菜でもよいので、お味噌汁を作りなさいというアドバイスがありました。
食事の本質的な意味と奥深さを分かりやすく解説して頂いた、心に響く貴重な講座でした。
(まとめ:楠野恭巳)