学習院女子大学・フードコンシャスネス論ご報告
〔 2018年6月29日 〕

2018年6月29日フードコンシャスネス論において早稲田大学 先進理工学部 化学・生命科学科 中尾洋一教授に講義を頂きました

 

6月29日(金)「特別総合科目(フードコンシャスネス論1)」(品川 明教授担当)において、早稲田大学 先進理工学部 化学・生命科学科 中尾洋一教授に「食と遺伝子のスイッチ」と題して講義を頂きました。

(フードコンシャスネス論は(一社)フードコンシャスネス研究所からの寄付による寄付講座です。)

 

 本講義では「食べ物は体にいい?」という問いから始まり、「どういいの?」を深く考えてもらうことを若い世代の方々に意識してもらうべく、理系的なアプローチによる食品研究の紹介がありました。

まず、食品の機能性がこれだけ社会的な注目を集めているにもかかわらず、その機能性を調べるための研究法はいまだに限られた手法にとどまっており、新しい切り口による研究が必要なことを説明頂きました。

つぎに、その新しい切り口のひとつとして遺伝子のスイッチ(エピゲノム)の変化による機能性の評価が可能なことの解説がありました。この手法は元来医薬品の評価法として有効と考えて開発されたものですが、今回は食品に含まれるマイルドな機能性の評価に向いていることの説明があり、味噌の機能性成分を例として最新の研究の紹介がありました。

 

さらに、私たちを取り巻く環境に存在する内分泌かく乱物質などの環境因子による健康への影響の可能性と、その悪影響の低減にむけた食品機能の利用可能性についても意識すべきだという解説がありました。

食品の機能については未知の部分が多いことの認識を通じて、いたずらに宣伝に乗せられる消費者ではなく、食品の機能を見極めたうえで有効活用しようとする賢い消費者としての意識を高めることの大切さを認識させられる講座でした。