学習院女子大学・フードコンシャスネス論ご報告
〔 2016年5月20日 〕

2016年5月20日フードコンシャスネス論において精進料理研究家 藤井まり 女史に「精進料理とは」と題して講義を頂いた。

 

5月20日(金)「特別総合科目Ⅸ(フードコンシャスネス論1)」(品川 明教授担当)において、精進料理研究家 藤井まり 女史に「精進料理とは」と題して講義を頂いた。

講義の内容は主に以下の項目から構成されていた

1、自己紹介

2、精進料理の歴史

3、精進料理の考え方と特徴

4、禅宗のお膳の主な特徴

5、精進料理のだし

6、お粥の十徳

 

藤井講師は鎌倉の住職である藤井宗哲氏(故人)と結婚し、31年前から夫と共に鎌倉の精進料理塾「座味会」の指導にあたってきた。同講師は日本だけではなく、海外でも幅広く活動されている。

精進料理は仏教と共に日本の寺院に伝わった料理で、もともとは僧侶の修行のための料理であり、肉類、魚類を使わずに、穀類、野菜、豆腐などで作る。

精進料理を作る時の心構えとして、『典座教訓』という三心(喜心、老親、大心)の教えがある。これは喜びの心を持って、親が子を思うような気持になって、また向上心を持って料理に取り組むということである。

精進料理でよく言われる「身土不二」とは、「身」(今までの行為の結果=正報)と、「土」(身がよりどころにしている環境=依報)は切り離せないという意味で、その土地で季節のモノを食べるのが健康に良いという、いわゆる地産地消を薦める言葉である。旬の食べ物は一番パワーを持っていて、その季節に合う身体を作ってくれることは科学的にも説明されている。

禅の修行道場での朝食はお粥であるが、それは「粥に十徳あり」と言った仏教の教え(「僧祇律」)に基づいている。

仏教における修業は心を作る修行であるが、その器となる身体の健全さをたもつ修行に精進料理という食の世界が大きくかかわっていることを強く認識させられる講義内容であった。

まさに食と心は一体でなければならないのであり、フードコンシャスネスの5つの心を始めとる基本理念と脈絡を一にする講義内容であった。

 

ちなみに、「粥の十徳」とは以下を意味する。

1.「色」顔色、肌つやをよくする。

2.「力」体力をつける。

3.「寿」寿命を延ばす。

4.「楽」胃にやさしく体が楽になる。

5.「詩清弁」頭の働きが良くなって、弁舌も流暢になる。

6.「宿便を除く」胸につかえない。

7.「風除」風邪をひかない。

8.「飢消」空腹を癒す。

9.「渇消」のどの渇きを癒す。

10.「大小便調適」大小便の通じが良くなる。

 

(まとめ:楠野